現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
地下の青い猫は心地いい空間と美味しい珈琲で非ジャズ人を迎えてくれた
2007年02月14日 (水) | 編集 |
地下の猫

OLYMPUS E-1+SIGMA 18-50mm(f3.5-5.6), f5.6, 1/13s(絞り優先)



 人生には思いがけない出会いがあり、それによって興味対象が増え、新しい経験が生まれる。まさか自分がジャズ喫茶などというものに足を踏み入れることになろうとは、去年までの私には思いもよらなかった。タイムトラベルをして一年前の私に会いに行って、お前は一年後にジャズ喫茶に行くことになると告げたとしても、去年の私は笑い飛ばして本気にしなかっただろう。行かない方に全財産を賭けてもいいとまで言ったかもしれない。賭けなくてよかったと今の私は思う。明日の自分がどうなるかなんて、自分自身にも分かりっこないのだ。
 ひとつのキーワードが別のキーとつながってそれが連鎖する。ジャズと猫が名古屋で出会って青い猫となり、私たちを呼び寄せた。地下の猫へ行こうと誘ったのは私の方だった。ジャズを意識的に聴いたこともなければジャズの知識などまったくない私が、不安を感じることなくジャズ喫茶の扉を開けることができたのは、ツレがジャズの人だったからだ。
 我々は名東区の藤が丘駅にほど近い「JAZZ茶房 青猫」の重い鉄扉を開けた。

青猫カウンター
以下 OLYMPUS E-1+Super Takumar 50mm(f1.4)

 ♪ 地下のジャズ喫茶 変われないぼくたちがいた 悪い夢のように 時がなぜてゆく♪
 行く前は、森田童子の「ぼくたちの失敗」のような場所を少し想像していた。けど、それはいい意味で裏切られることになる。確かに地下ではあるし、照明は薄暗いものの、悪い夢のようではもちろんなく、ストーブ代わりの電熱器を抱えてるような貧乏学生の客もいない。スピーカーから流れる音楽も大音量ではなく、お客はみな音楽を聴くか、店においてある本を静かに読んでいるかで、落ち着いた雰囲気に包まれている。音楽を聴くことをメインとしたスペースと、おしゃべりをしてもいいコーナーとが区別されていて、ジャズのディープなファン以外はお断りといった昔ながらのジャズ喫茶とは違っているのが嬉しい。とはいえ、平日の昼下がりに主婦4人組が大声で井戸端会議をするようなお店ではない。
 コンクリートむき出しの壁と天井、カウンターの向こうには遠巻きに見ると若き日の手塚治虫風のオーナーと推定奥様の美人さんがいる。壁一面のCDジャケットと、店主の趣味と思わしき文学書。トイレがまたいい。レトロ趣味とウォシュレットの組み合わせが斬新だ。こだわりのインテリアひとつひとつに意志を感じさせる。
 注文はブレンドのホットふたつ。ジャズ喫茶にはホットコーヒーがよく似合う。間違ってもクリームソーダなどを注文してはいけない。そもそもそんなものメニューに載ってないし。

ジャズ喫茶といえばホットコーヒー

 シンプルでありながら少しひねりの効いたカップに入ったコーヒーは本物だった。最近まともなコーヒーを飲んでなかったことにあらためて気づく。もちろん、名古屋名物コーヒーにピーナツなどは付いてこない。
 ケーキやパスタなども美味しいらしいので、軽い食事をするときもこの店は選択肢に入る。
 コーヒーを飲みながら小さめの声でツレと話しているうちにだんだんこの店の空気に馴染んでいくのを感じた。ここならひとりで入って、持参した小説を読みながら過ごすのにもいい。もし今自分が大学生だったら、週に2、3回は通ったかもしれない。ただ、何かひとつ物足りないものがあると思って何だろうと考えて分かった。それは猫がいないことだ。これで店の看板猫がいたら個人的に言うことなしだった。catがスラングでジャズミュージシャンやジャズ好きを意味するということをツレに教えてもらって知ってはいたのだけど、それでもせっかくの青猫という店名だから、ロシアンブルーでもいてくれたら最高だった。店の名前は、萩原朔太郎の詩集『青猫』から来ているそうだ。

 ああ このおほきな都會の夜にねむれるものは
 ただ一疋の青い猫のかげだ
 かなしい人類の歴史を語る猫のかげだ
 われの求めてやまざる幸福の青い影だ


青猫のこだわりCD

 ここの店の特徴のひとつとして、レコードではなくCDをかけているというのがある。しかし、音響システムがなかりすごいらしい。ステレオ関係も特に詳しくないのでよく分からないのだけど、ゴールドムンドのアンプ、プレイヤーと、JBL S9800SEスピーカーの組み合わせで700万円だとか。私は高校のとき、明菜ちゃんが宣伝していたPIONEER PRIVATEコンポをためたお年玉で買って大喜びしていた程度で、それ以降音へのこだわりはあまりない。ただ、実際にいい音を耳にすればこれは違うなというくらいは分かる。すごく立体的な音だった。音楽を聴きたい人用に、スピーカー前にも席が用意されているので、そこに坐って思う存分音楽を浴びるように聴くことができる。
「何時間でも好きなだけ居て下さって結構です」店主。だそうだ。
 リクエストすれば自分の好きなアルバムもかけてくれるらしい。そうじゃないときは、オーナーがひっきりなしにCDを取り替えて聴きたい楽を流している。本当にジャズが好きでこの店をやってるのだなというのが伝わってくる。

 場所は、藤が丘駅の前の北西へ向かう前の道を行った、アンフィニビルの地下1階になる。駐車場はないので少し離れた隣の有料駐車場に入れる(30分100円)。営業は13時から24時(日曜は19時まで)。木曜定休(現在、15日まで臨時休業中)。
 ジャズ好きな人はもちろん、ジャズにまったく興味がない人にもオススメしたい店だ。通りすがりに見つけられるような店ではないので、この店が似合いそうな人を連れて行ってあげたり教えてあげると喜ばれると思う。続々と客が押し寄せてきたらオーナーも困ってしまうと思うけど、「青猫」は人に教えたくなるような素敵な喫茶店だった。私もまた行きたい。次までにはもう少しジャズについても勉強していこう。ジャズはアメリカの黒人の音楽が発祥だから、シャネルズのメイクで行くっていうものアリだ。おそらく青猫の中にいるシャネルズは私だけだと思うので、見かけたらひと声かけてください。靴墨は肌に悪いぞ、と。


この記事に対するコメント
おひさしぶりです。
ジャズ喫茶、ステキですね。
関東ではなかなかこういったお店がないので、ちょっと羨ましいです(*^_^*)
(都内ならあるのかしら???)
昔はあまりジャズなんて聴かなかったのですけど、最近良いなと思えるようになってしまいました。

突然ですが、このたび、ブログをFC2よりココログに移動させることになりました。
大変お手数をおかけいたしますが、リンクの変更をお願いいたしますm(__)m
これからもよろしくお願いいたします。

【2007/02/15 00:43】 URL | りくらむ #mQop/nM. [ 編集]

キャンプイン
★りくらむさん

 こんにちは。
 こちらこそお久しぶりです。
 元気でしたか?
 こちらは元気にうろついてます。

 プロ野球もやっとキャンプイン。
 この時期はどのチームも楽しみが持てていいんですよね。(^^;
 私は今年も、惰性でゆるやかに巨人を見守っていこうと思ってます(笑)。

 ジャズ喫茶は東京でも少なくなったんでしょうね。
 ただ、いったん絶滅しかけてまた復活模様らしいから、案外りくらむさんちのそばにもあるかもしれないですね。

 リンクの件、了解です。変更しておきました。
 ココログの方が軽いみたいですね。

【2007/02/16 05:24】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


v-71回いってみたいです!!
学校の音楽の先生の
紹介です色付きの文字

【2007/02/20 20:52】 URL | #- [ 編集]

青猫不思議空間のススメ
 はじめまして、こんにちは。v-8さん。

 青猫、お近くならぜひ行ってみてください。
 不思議な異空間ですから。
 といっても、そんなに恐ろしげなところではなく、妙に落ち着く空間でもあるので。
 音楽関係の方だったら、音響にも感じるものがあるはず。
 コーヒーも美味しいですよ。(^^)

【2007/02/21 05:35】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


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