現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
ようやく初めて訪れることになったランの館のまだ半分の顔
2007年02月16日 (金) | 編集 |
ランの館表

OLYMPUS E-1+SIGMA 18-50mm(f3.5-5.6), f4.5, 0.4s(絞り優先)



 前からずっと気になっていたランの館。大須の街中にあって駐車場がないというのと入館料700円という微妙な高さから、一度は行かなくてはいけないと思いつつ、これまでなんとなく行けずにいた。そもそも洋ランには特に思い入れもないということもあって。
 今回ようやく行けたのは、ツレがいたということと、たまたま時間があったという条件が重なったからだった。縁がなかった場所にも別の縁がつないでくれるということがある。
 行ったのは12日祝日の夜。夜間割引で入館は500円だった。更にJAFの会員割引も使おうとしたら、それは昼だけです、とあっけなく断られる。100円を浮かそうとして貧乏性を露呈してしまう結果となった。
 入口はバレンタインのイルミネーションが飾られていた。でも2月に見るイルミネーションはどこか気恥ずかしさを感じる。はずし忘れたまま走ってる車のしめ縄のように。クリスマスシーズンにはまったく違和感がないのに、不思議といえば不思議だ。

ランの館アトリウム

 チケット売り場を超えた先がアトリウム(大温室)となっている。イルミネーションやハートの風船などはバレンタイン仕様なのだろう。写真で見ると少し安っぽい感じがするけど、実際はけっこうきれいでよかった。うん、これはこれで悪くない。
 温室内は思ったほど温度が高くない。湿度は高いのにレンズは曇らなかった。ランのための温度設定はけっこう低めになっているようだ。
 アトリウムでは色とりどり様々なランが出迎えてくれる。しかし、ランにあまり興味のない我々としては、ああ、きれいだねという当たり障りのない感想を口にしたあと気の利いたコメントが続かない。まったく名前も知らないし、色や形を見てもどのランがどうなのかとか何ともとりとめがない。野草でも手に余るのに、2万種類もあるというランを覚えようという気にはなれない。
 ロンドンのクリスタルパレスをモデルにしたというこの温室だけでも、年間250種類、20,000株のランが季節に合わせて展示されるそうだ。中にはソブラリア・アクランタなどの珍しい種類もあって、ラン愛好家が遠くから訪れるという。ラン好きにとっては、これだけのランに囲まれていたらそれだけで幸せ気分に浸れるというものだろう。女好きが美女に囲まれてるようなものだ(それはちょっと違う)。
 エントランスホールではランの鉢や切り花も売っていて、けっこう安いようだ。

ランの館くつろぎ室

 館内には温室だけでなく、「飾りモデル展示棟」というのがあって、写真のようにランのある暮らしを提案するという趣旨のくつろぎスペースが用意されている。ラン好きの奥さんに無理矢理連れてこられて、館内でほっぽらかしにされて手持ち無沙汰になってしまったお父さんのための場所と言えるかもしれない。別荘の居間風で、なかなか贅沢な作りになっている。ふかふかソファーに腰掛けてふんぞり返れば、一時的にせよ金持ち気分が味わえる。持参したバスローブに着替えて、手に持ったワイングラスを回したい。貧乏性の私はどうにも落ち着かず、とりあえず記念写真を撮って楽しんだ。
 棟内にはこのような部屋が4部屋あって、書斎ではランや園芸に関する専門書などを閲覧することができる。

ランの館トライアングル

 館内放送で、夜の7時からトライアングルによる演奏会が行われますと流れた。ほぉほぉ、バレンタインだけに女子大生のグループか何かがトライアングルで曲を演奏するんだなと思ったら、外国のおじさん3人組だった。そっちかよ! 私としては金城学院あたりのトライアングル演奏が聴きたかった。トライアングルの音色なんて、考えてみると小学校か中学以来耳にしてない気がする。あの音はけっこう好きだった。
 ここでは毎週週末にメンバー日替わりでいろいろな演奏会が開かれているようだ。このときも聴衆が意外と多かったから、これを目当てに訪れる人もいるのだろう。トライアングルというのは有名なバンドなんだろうか。

ランの館庭

 ランの館がオープンしたのは、平成10年のことだった。都会にオアシスをということで、20億円もかけて建設された。キーワードは、「夢」、「楽しさ」、「ロマンチック」だそうだ。確かに夢やロマンには金がかかる。
 コンセプトは、ヨーロッパのある国のラン好きの外交官アジョナ・オーキッド氏(架空の人物)が名古屋に屋敷を構えたらこんなふうになるだろう、というものだそうだ。ヨーロッパとアジア各国を歴任したオーキッド氏は、ランにも詳しく、道楽が昂じてこんな邸宅を建ててしまったのだった(という設定)。愛知県は意外にもランの生産日本一ということもあってランのテーマパークとなった。けっこう評判はいいようで、総入場者数も140万人を超えたとか。
 建物の外には池やテラスなどがあり、こちらがランの館の半分とも言える。アジアの庭と名づけられたスペースには、外で育つランなども植えられていて、池にはライトアップされた噴水があり、夏は熱帯性のスイレンが彩りを添える。
 外にはカフェテリアが、建物の中にはレストランがあって、アトリウムを見下ろしながら食事を楽しむこともできる。
 開館時間は午前10時から夜の8時まで。水曜定休で駐車場はなし。建物横のパーキングメーターのところにとめるか、少し離れた若宮公園駐車場あたりにとめることになる(若宮なら30分無料チケットがもらえる)。地下鉄なら、「矢場町」か「上前津」で降りて、徒歩5分くらい。
 季節ごとのイベントなどもいろいろあるようで、今はホワイトデーまでバレンタインイベントが行われている。

 で、結局のところ、ランの館ってオススメなのどうなのと訊かれると、うーんとうなって少し考えてしまう。人を選ぶというか、すごく楽しめる人は限定されるとは思う。ラン好きにはたまらなく魅力的なところなのだろうけど、そうじゃない人が見いだせる楽しみというとはっきりこれだというものが見つからない。確かに空間としては花に囲まれてゆったりできてちょっと贅沢ではあるのだけど、どうしてもここじゃなければ味わえないものというのはないかもしれない。場所的に栄や名駅ではなく大須というのも、やや魅力に欠けるか。
 ただ、訪れる時期と時間帯によって大きく印象が違ってくるというのはあるだろう。初めて行ったのが冬の夜というのと夏の昼というのとでは全然違う。私としても判断は夏にもう一度行ってからにした方がよさそうだ。ランも夏の方が充実するだろうし、庭で写真を撮るにも被写体は増えるはずだ。
 第一回目の訪問としてはこんなものだろう。縁がなかったところに縁を作ってくれたツレに感謝しつつ、ランの館よ、夏にもう一度呼んでおくれとお願いしたい。次こそなんとしてでもJAFの会員割引を使ってやるのだ。


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