現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
フクロウとコンドルが出会った動物園で彼らは何を語りどんな夢を見るのか
2007年04月24日 (火) | 編集 |
メンフクロウ-1

Canon EOS Kiss Digital N+EF55-200mm(f4.5-5.6 II), f5.6, 1/50s(絞り優先)



 お面をかぶった銀行強盗みたいな顔をしたフクロウさんの名は、メンフクロウ。見た目そのままだった。もちろん、マスクで変装してるわけではなく、これが元々の顔だ。じっと見てると笑えてくる。線を省略したアニメチックな顔だからだろうか。
 世界中に生息するフクロウで、決して珍しい種類ではない。北の寒いところをのぞくヨーロッパ全域から東南アジア、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアまでと生息域も広い。これだけ世界各地にいるのに日本にいないのが不思議なくらいだ。
 散らばっているとやはり多少の差が出てくるようで、約30種の亜種に分けられている。それぞれの国によって顔つきも微妙に違ったりするのだろう。
 日本では物珍しさから顔の特徴でメンフクロウと名づけられたけど、外国では見慣れた顔ということからか、納屋(Barn)によくいるという生態の特徴からBarn owlという名がつけられた。フクロウといえばこんな顔と思ってるのだろうか。
 住んでいる地域だけでなく生活圏も広く、民家に近いところから森林、サバンナ、沼地などで暮らしている。暑さ、寒さにもけっこう強いようだ。
 生態としては、ほぼ完全な夜行性で、主に夜、ネズミやウサギなどの小型ほ乳類、鳥、は虫類、昆虫などを捕って食べる。夜目が利くので暗いところでもバッチリ見える。聴覚もとても発達していて、遠くの小さな物音も聞き逃さない。獲物を捕るときは目よりも耳で判断しているのではないかとも言われている。
 そんな夜型で目も耳もいいのであれば、動物園暮らしは相当ストレスが溜まってるんじゃないだろうか。横並びの鳥舎で他の鳥はうるさいし、昼間はぞろぞろと人間が前を歩いていくからおちおち寝てもいられない。少し離れたところにいるワライカワセミの声なんかにいつもイラっときてるだろう。ケケケケケケケケっとけたたましく鳴いている。
 そんな神経過敏なところがあるせいか、多くのメンフクロウは2年ほどしか生きないという。人間も鳥も、大らかで少し脳天気なくらいの方が長生きするようだ。

メンフクロウ-2

 フクロウ目は、メンフクロウ科とフクロウ科の2科に分かれていて、全体では世界で140種類ほどが見つかっている。日本ではめったに目にすることはないものの、それでも10種類ほどいるとされている。地球でフクロウがすんでいないのは南極だけだそうだ。
 フクロウがじっと一点を見つめているのは、哲学的なことを考えてるからでも、物思いにふけっているからでもなく、単に目玉が動かせないからにすぎない。目が泳ぐなんてこともないから、堂々としてるように見えるけど、内心はびくびくしたりすることもあるに違いない。
 目玉は顔の前についていて動かせないから、代わりに頭を動かす。ぐるりと真後ろを見ることもできるし、左右だけでなく上下にも自由に動く。人間だったらびっくり人間で白いギターがもらえるところだ。
 目の位置は上下で少しずれていて、耳も左右違う位置についている。こういう非対称の生き物は珍しい。
 視力はものすごくよくて、遠くのものまで見える。ただし、近くのものは見えないから新聞を読んだりはできない。メガネスーパーのキャラクターのフクロウは遠視用の眼鏡をかけているはずだ。夜目の利きも抜群で、感度は人間の100倍だそうだ。デジカメのISOでいうと、ISO10000とかだろうか。夜が明るい都会では暮らせない。

 フクロウのイメージは国や文化によっていろいろで、不吉なものとされたり、森の守り神とされたり、幸福を呼ぶ生き物として喜ばれたりしている。アイヌ人は守護神として崇め、アメリカ先住民のホピ族は不気味な生き物と恐れた。古代メキシコでは豊穣をもたらすものとされながら同時に死の象徴でもあったとされている。夜の闇に生きる生き物ということで、霊界とこの世を行き来しているというような思われ方をしていたのだろう。
 日本でもかつてフクロウは不吉な生き物とされて、フクロウを見ると悪いことが起きたり死んだりするとまで言われたことがあった。現在は積極的なイメージ回復作戦がとられていて、「福籠」、「不苦労」、「富来労」などという字を当てて、置物やお守りになったりしている。
 私もフクロウには一目置いている。単純に好きとかではなくて、鳥を越えたケモノの存在感を感じて、敬意を表しつつ少し距離を置きたいような気分が強い。森で出会ったら、静かに頭を下げて通り過ぎたいような。庄内緑地でフクロウの仲間のトラフズクは見てるけど、野生のフクロウはまだ見たことがない。いつか見てみたいと思っている。

コンドル

 幼稚園児のちびっこがコンドル舎の前へ走り込んできて、元気よく言いはなった。あっ、コンドルじゃん! それがまるで、昔の友達に街でばったりであったときのような口調だったのでちょっとおかしかった。あ、近藤じゃん、久しぶり、元気だった? なんていうふうに会話が続きそうだった。でも、なんでやつはひと目見てこいつをコンドルと見分けたんだろう。コンドルなんてのは街ではもちろん、テレビなんかでもあまり目にする機会はないと思うんだけど。明らかにプレートを見る前から知っていたふうだったから、動物好きの少年だったのだろうか。

 コンドルはいわゆるハゲタカと呼ばれるものの一種で、その通り頭には毛がない。顔全体がむき出しになっている。これは動物の死肉を食べる習性からそうなったとされている。死体に頭を突っ込んで肉を食べるときに、毛がふさふさだと腐った液体や血で汚れてしまって衛生的ではないからという理由なんだそうだ。服は汚れるから最初から上半身裸でいようってな感じだろう。毛がなければ汚れても乾かせばいいし、空を飛んでいるうちに紫外線で殺菌消毒になるというわけだ。
 それと、毛のない頭の部分で体温調節をしているということもある。
 最近話題のハゲタカファンドというのも、死肉を漁るコンドルが由来になっている。死に体になった日本企業の不良債権を安く買いたたいて儲ける外資系の投資会社のことだ。

コンドル-2

 コンドルは世界最大の猛禽類で、空を飛ぶ鳥としては最も大きい。体長は1メートル以上で、翼を広げると3メートルになる。体重も10キロ以上で、よくこんな大きな体で空を飛べるなと感心する。近くで見るとかなりの迫力だ。肩に乗せて電車に乗ったりはできそうにない。
 オスは翼が黒くて、頭にトサカがある。メスはつるっとした頭をしていて、目が赤い。
 メキシコやアルゼンチンの森林、アンデス山脈などに生息している。それとは別に北アメリカの西海岸に、やや小型のカリフォルニアコンドルというのもいる。なのでそれに対して普通のコンドルは南米コンドルなどと呼ばれることもある。
 コンドルは猛禽類でありながら、いわゆるタカやワシとは系統の違う鳥で、狩りも苦手というかできない。足の爪が発達してなくて、タカのように上空から急降下して爪で獲物をがっちりとらえたりできないからだ。足は意外にも歩くのに適した格好になっている。遺伝子的にはコウノトリに近いということが最近の研究で分かってきた。
 地上の姿はあまりスマートとはいえない。寂しくて小さな頭と、それに不釣り合いながっちりした体のバランスが悪いし、姿勢も前のめりでシャキッとしていない。やっぱりコンドルはアンデス山脈の上空を優雅に滑空している姿が美しい。
 コンドルの骨や翼は、バタバタと羽ばたくよりも上空高くで風に乗るのに適した構造になっている。いったん風をつかまえるとほとんど羽ばたかなくても飛んでいられるという。
 彼らこそ、もっとも動物園に似合わない生き物かもしれない。ここの空は狭すぎて、彼らが夢見るアンデスの上空はあまりにも遠い。
 それにしても彼らの寿命は長い。50年から60年生きるというから、一昔前の人間並みだ。5、6歳まで成熟せず、ペアは一生を連れ添うと言われている。
 巣作りは、高度3,000から5,000メートルの高い場所でおこない、一度に数個の卵を産む。子供は2歳くらいまで親と一緒に過ごす。
 この繁殖力の低さと、環境の悪化によって近年その数を減らしている。特にカリフォルニアコンドルは一時絶滅寸前までいって、人間の手で最近になってどうにか少し回復したところだ。このあたりもコウノトリに近いものがある。
 ボリビア、チリ、コロンビア、エクアドルの国鳥となっていて、南米人にとってはとても大切な鳥のようだ。その国がどんな鳥を国鳥に選ぶかは国の特徴を表していて面白い。アメリカがハクトウワシというのはいかにもだし、日本の雉(キジ)、インドのクジャク、パプアニューギニアの極楽鳥などもなるほどと思わせる。フランスの雄鳥(ニワトリ)も意外なようでいて戦闘的な感じは納得かもしれない。

 フクロウとコンドルと、野生で出会うことはないであろう鳥たちが一ヶ所に集められて暮らす動物園というのは、生き物の視点で見るとひどく不思議な場所だ。野生では天敵同士でも、ここではある種の運命共同体となる。日ごと夜ごとの動物園ではどんな会話が交わされているのだろう。あまりもたくさんの異種語が飛び交っていて、混線状態になっているのだろうか。動物の言葉が理解できる人間が動物園に行ったら、おかしくなってしまいそうだ。
 今でも毎日故郷の夢を見るのだろうか。それとも、夢はもう見なくなったのかな。動物園を訪れる人間に夢を与えるという役割を担いながら、彼らにどんな夢が残されているのか。せめて私たちは彼らに報いるために、彼らの存在を知ろう。この地球をよりよく知って、愛するための手掛かりとして。
 檻の内と外という違いはあるにしても、私たちはみんな地球号に乗り合わせた同じ乗客だ。共に生き延びる道を探していこう。どこにあるかも知れない終着駅に着く日まで。


この記事に対するコメント

こんにちは

いつも役立つ情報ありがとうございます


私もサイトを開設しましたのでもしよろしければ

一回見に来てください


ではこれからも良い情報待っています


ではがんばってくださいね


【2007/04/24 04:32】 URL | 株で稼ぐ野郎 #- [ 編集]

ミャンマーのふくろうは
たまたまミャンマーのふくろう置物を見る機会があったのですが、ミャンマーでは
ふくろうは縁起物で、幸せを呼ぶ、魔よけになるといわれています。
店頭では、木製のふくろうの置物とかが並んでいるそうです。

英語では、"wise as owl"’(ふくろうのように賢い)という慣用句がありますが、
ふくろうは知恵の象徴だそうです。

近所の雑貨店では、「風水ふくろう」という置物を見ました。
なぜか、色によって、金運、健康運とか、運の種類が違ってました。(かなりウソっぽいですが)

黒猫や黒犬は魔よけになる、とずっと昔に母親が言っておりました。
黒い姿をして闇の時間に眼を覚ましている動物たちは、悪霊(?)とかが悪さをしないように、じっと見張ってくれているんじゃないでしょうか。


【2007/04/24 16:53】 URL | yoshimi #ZJc/.M/s [ 編集]

面白いだけじゃないものを
★株で稼ぐ野郎さん

 こんにちは。
 ブログ、読んでいただきありががとうございます。
 何か役立つネタを入れ込みつつ、面白く読めるものを書けたらいいなと思ってます。

 株はまったく無縁なんですが、さっき少しお邪魔しました。
 大学卒業後、友達が入社した山一証券がなくなったときは、驚きました。(^^;

【2007/04/25 03:21】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]

フクロウも黒猫も
★yoshimiさん

 こんにちは。
 ミャンマーではフクロウは魔よけや縁起物なんですか。
 国によってけっこうイメージにばらつきがあるようですね。
 確かに、暗闇の中でホォーホォーって鳴いてたら不気味っていえば不気味だものなぁ。(^^;
 森の知恵者ってイメージもありますよね。
 日本の当て字関係はちょっとこじつけすぎると思うけど(笑)。

 黒猫も、国によって扱いがずいぶん違いますよね。
 一般的に悪いイメージと思われがちだけど、国によっては幸運の象徴だったりするし。
 少なくとも、うちにいる黒猫のアイは幸運をもたらしてくれると信じてます。悪いこともないし、何か役に立っているんでしょう。
 猫は神の使いとも言いますもんね。

【2007/04/25 03:24】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


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