現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
今年も遅れた小堤西池のカキツバタにまた来年会いに行こうと思った
2007年05月24日 (木) | 編集 |
カキツバタ小堤西池-1

OLYMPUS E-1+Super Takumar 200mm(f3.5), f4.5,1/30s(絞り優先)



 おととしの5月10日、刈谷市に国の天然記念物に指定されているカキツバタ群落があると初めて知って、喜び勇んで行ったらまだ2分咲きだった。
 去年は5月29日、満を持して行ったはずが大遅刻。半分ほど枯れ切ったカキツバタを前に、呆然と立ち尽くす私であった。
 今年は今日5月23日、ちょうどいいんではないだろうかフフと余裕を持っていったら、2年連続の遅刻で意気消沈。訪れる人もまばらで、閑散とした小堤西池は普段と変わらぬ静けさだった。
 写真はまだ残っているところを遠くから写してるからいい感じに見えているけど、実際はもう3分の2は枯れ始めていて、花の状態はもう駄目寸前だった。3分咲きというか、7分枯れというか、そんな感じで。
 カキツバタよ、キミはなんて気難しいんだ。

カキツバタ小堤西池-2

 今年は湿地の水が少なくて、花の数が少ないという話を聞いていた。行ってみると、確かに地面がむき出しになってひどくひび割れているところもあった。写真のあたりはかなり痛々しい。湿地に咲く花だから、ノドがカラカラなんじゃないか。
 ただ、言われているほど花の数は少なくなくて安心した。数だけなら去年より多いくらいだった。けれど、乾いたところに黄色いハハコグサの軍団と一緒に咲いているカキツバタというのは、やっぱりちょっと変だ。ハハコグサには悪いけど、カキツバタはあんな雑草の隣で咲くものではない。もっと上品で高貴で、限られた場所でしか咲かない花なのだから。
 ここは天然記念物ということで人の手があまり加えられないので、自然の状態に任せるような形になっている。害になる雑草は取っているものの、水を入れたり肥料をやったり人の手で植えたりなどということはしていない。そのせいで近年はだいぶ数を減らしてきている。その昔は一面が紫色に染まるほどだったというけど、現在の姿からそこまでを想像するのは難しい。

カキツバタ小堤西池-3

 カキツバタはやはり水辺がよく似合う。人が踏み込んでいけないようなところで静かに咲く姿が美しい。民家の庭や寺の境内なんかで咲かせるものじゃない。
 花の色に関しては、今年は紫が強い気がした。どちらかというと水色に近いような淡い紫の色をしてるはずなのに、今年は濃厚な紫色をしていた。光の加減やレンズの違いではなく、肉眼でもはっきりそう見えた。このあたりも環境の変化が影響してるのだろうか。もっと青い寒色系の涼やかさが欲しいところだ。

カキツバタ小堤西池-4

 ここに写真を撮りに行くときは、望遠レンズを持っていくことを忘れないようにしたい。歩く農道からカキツバタまでの距離が遠くて近づけないから、ほとんど望遠一本で事足りるくらいだ。私は200mmレンズでE-1と組み合わせて400mm換算だったけど、これでも持て余すことはなかった。一緒に持っていった135mm(270mm換算)では足りなかった。広角はほとんど出番がない。28mmくらいで撮っていては撮っている状況説明の写真になってしまう。
 望遠の圧縮効果を狙うなら、横だけでなく縦撮りも絡めると面白い。前後のボケがカキツバタの繊細さを演出してくれる。

カキツバタ小堤西池-5

 アップも一枚くらい撮っておこう。ここに来ると、遠くにあるいいポイントを見つけ出したいと思う余り、近くにある花の存在を忘れがちになってしまう。
 今回はアップに耐えられる花を見つけるのが難しかった。ほとんど枯れ始めてるものばかりで。

カキツバタ小堤西池-6

 今回一番気に入った写真がこれ。花の状態があまりよくないものを選んでしまったのは残念だったけど、行く前に撮りたいと思っていたカキツバタのイメージに近かった。
 望遠で開放にして、前ボケと後ろボケの間からフッと顔を出しているところを狙うとこんな感じになる。これは少し偶然に近かったのだけど、来年は意識的にこの撮り方を狙っていきたい。
 3年目の3度目ということで、少しは撮り方も成長してると思う。この3年間、たくさん撮ってきたし、ちょっとずつ写真のことも分かるようになってきた。最近は同じ季節の同じ場所2シーズン目、3シーズン目というところが増えてきて、去年より今年の自分がどれくらい成長してるか確かめる楽しみがある。それは他人とは違う写真を撮ろうなんていう野心のようなものではなくて、自分の頭の中にイメージをしっかり作って、それをカメラと写真の知識と技術で表現する行為だ。たとえば頭の中にある思考を言葉で表現するというのに似ている。両者の距離が近づけば近づくほど嬉しくもあり楽しくもある。

カキツバタ小堤西池-7

 おまけのキショウブ。固まって咲いているところは誰かが最初に植えたのだろう。少し離れた場所でもパラパラと咲いている。こちらは自力で野生化したやつらだろうか。

カキツバタ小堤西池-8

 それにしてもカキツバタのピークは一体いつだったんだろう。今年こその思いで、5月の10日過ぎからはネットで情報を毎日拾っていたつもりだったのに、それでも遅れてしまった。横浜へ行っていた先週末あたりが最高潮だったんだろうか。毎年、日にち的にもずれるから見極めが難しい。去年より一週間早くても出遅れてしまうとは思わなかった。
 それでも、3回の中で一番多くの花を見ることができたのは収穫だった。これで花の状態がいい時期に行けば、更なる感動が待っている。来年以降につながった。
 3年連続となると、毎年行くのが習慣になりそうだ。来年もまた行こう。次こそはピークを見切りたい。万全を期すなら2回行くつもりでいれば大きくはずれることはないだろう。ネットの情報だけでは分からない。自分の目で確認すればひと目で分かる。
 今年も無事に訪れることができたことを感謝しつつ、小堤西池をあとにした。振り返って誰もいない夕焼けのカキツバタの群落に向かって、小さく左手を振ってみた。


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