現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
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横浜三塔物語を知らなかった昨日と知った今日と叶える明日
2007年05月30日 (水) | 編集 |
横浜キング

PENTAX istDS+smc PENTAX-DA 18-50mm(f3.5-5.6 AL), f8 1/20s(絞り優先)



 三都物語といえば谷村新司。三塔物語といえば横浜と相場が決まっているようないないような、昨日、今日、明日。我々が赤レンガの次に向かったのが横浜のキング&クイーン&ジャックだった。
 明治の開港以来、横浜にはシンボルとなる三つの歴史的な建物がある。通称キングと呼ばれる神奈川県庁、クイーンの横浜税関、ジャックの横浜市開港記念会館と、この三つを横浜三塔という。これは最近の話ではなくて、ずっと昔に外国から来た船乗りたちが言い始めたのだという。トランプの絵札になぞらえてそう呼んだんだそうだ。当時は高い建物が少なかったから、港に近づく船からもそれぞれの塔がよく見えたことだろう。
 そして今、ひそかに三塔物語というものが新たなる都市伝説として語られるようになった。船乗りたちがこの塔に航海の安全を願掛けしたことから、三つの塔を同時に見られる三つのポイントから眺めると願いが叶うとされている。七つのドラゴンボールを集めるよりもずっと簡単だからやれるものならやりたかったのだけど、そんなネタは行く前には知らなかった。帰ってきてから初めて知った。
 しかし、手掛かりなしに三つのポイントを自力で見つけるのは難しい。かなり厳しい条件をクリアしなければならないから。でも、自分で見つけてこそ価値があるとも言える。答えを人に教えてもらって実現しても価値は低いから、小さな願い事しか叶わないかもしれない。ヒントは、キングの正面、大さん橋、赤レンガ倉庫だ。ポイントを発見すれば足もとにプレートとマークがある。横浜へ行くようなことがあれば、ぜひ挑戦してみて欲しい。そして願いを叶えて、変わりゆく私が紅くいろづくときめきを誰かに告げてください。

 キングこと神奈川県庁は、大さん橋から見て正面にでんと構えて建っている。この場所は江戸時代から役所のあった場所で、昔も今も変わらずここが横浜の行政の中心となっている。
 現在の建物は、関東大震災で倒壊した先代を建て替えたもので、昭和3年に公募の中から選ばれた(4代目に当たる)。このデザイン、どこかで見たことあるなと思ったら、愛知県庁と名古屋市役所を足したような感じなのだ。名古屋の場合、上は模擬天守閣とシャチホコが載っているんだけど。横浜の場合は、そんなおちゃらけたことは一切せず、あくまでもマジメに重厚だ。余計な装飾もせずにキングの風格を崩していない。
 高さは約48メートルでクイーンよりも3メートル低い。5階建てで、塔の部分まで入れると9階建て相当になる。
 現役の県庁舎として使われていて、一般でも自由に入ることができる。入口のエントランスからレトロ感満載で、高級感が漂っているそうだ。6階には展示コーナーがあって、ここからの見晴らしはなかなかのものらしい。ただし、役所なので開いてるのは平日のみとなる。

横浜のクイーン

 美しい尖塔とイスラムのモスクのようなドームを持つのがクイーンこと横浜税関本館だ。ここが神奈川県庁よりも高いのは、県の建物より国の建物が低くては格好がつかないということで当時の税関長が設計を無理矢理変更させたという話が伝わっている。こちらも関東大震災で4代目の建物が倒壊したあと、昭和9年に再建されたものだ。ただ、財政難からここは後回しにされてしまって、その間職員たちは平屋のバラックで仕事をこなしていたそうだ。戦後は8年間もアメリカ軍に取り上げられて米軍の司令部として使われていた。なかなか波乱に富んだクイーンなのだ。
 ここは基本的に年中無休で一般も入ることができる。1階には横浜税関資料展示室(クイーンのひろば)があって、そこでは税関の歴史や仕事を学べるだけでなく、ブランド品のコピーの展示や、覚醒剤などの密輸の手口をビデオで紹介したりもしているそうだ。ニセモノのバッグや時計を持って入っていったら没収されるかもしれないので気をつけよう(それはない)。

横浜ジャック

 建物として最も優美で華麗なのが、ジャックの横浜開港記念会館だ。1917年(大正6年)に、横浜開港50周年を記念して市民の寄付で建てられた。その後関東大震災や第二次大戦にも耐え、何度かの修復を経て現在もかつての姿をとどめている。これは美しい。国の重要文化財にも指定されている。
 現在は講演会や展示会などをやるための公会堂として使われている他、毎月15日に内部が一般公開される。ステンドグラスや装飾品など、昔の面影がしっかり残っているという。

横浜海岸教会

 おまけは横浜海岸教会。1871年(明治4年)に日本で最初のプロテスタント教会として建てられた。現在の建物は関東大震災後の1933年(昭和8年)に再建されたものだ。今は高い建物と木に邪魔されて視界が悪くなっているけど、大さん橋からは尖塔が正面によく見える。かつては海や港から高々とそびえる姿が楽に確認できたことだろう。
 残念ながら一般の見学は不可のようで、門は閉ざされていた。夜はライトアップされて、青白く照らされる。
 見学はできなくても結婚式はできる。この海岸教会とカトリック山手教会聖堂が横浜における二大本格教会結婚式場となっているようだ。一般的にはカトリックもプロテスタントも関係ないのだけど、カトリックの方がやや厳しい。事前にクリスチャンの勉強会みたいなものに出ないと式を挙げさせてもらえないところが多い。

かつての横浜港

 明治の頃の横浜港の様子を描いた絵。へー、こんなふうだったんだ、としばし見入る。今見ると逆に新しい感じがする。当時の日本人にはすごくハイカラに見えたんだろう。正装した男女が汽車と馬車を乗り継いで港へ行って、日本初お目見えのアイスクリームをなめたりしながら海を眺めるなんてのが当時最先端のデートコースだったのかもしれない。

 キング&クイーン&ジャックの三塔はそれぞれ近いところにあるから、外観を見て歩くだけなら大桟橋の往復を入れても30分くらいだろう。中まで入れば更に楽しめるのだろうけど、外観を見るだけでも価値はある。
 これ以外にも、神奈川県立博物館、旧富士銀行横浜支店、横浜郵船ビル、戸田平和記念館など、このあたりには歴史的な建物がたくさん残っている。ぐるっと一周巡っても1時間ちょっとくらいだから、そういうのが好きな人なら横浜観光コースに入れて損はない。中に入れるところまでしっかり見学すれば半日コースになるだろうか。
 時間と体力に余裕があれば、横浜三塔物語に挑戦するのもいい。双眼鏡があれば尚いいところだけど、ここはやはり昔の望遠筒みたいなものを持参したい。昔の外国の船乗りが持っていたようなやつ。
 場所が分からず人に訊ねるとき、このへんにキング&クイーンってありませんか、と言うのはやめておいた方がいい。そんなもの、とっくにつぶれましたよという答えが返ってくる可能性があるから。キングを単独で訪ねると、キングカズの情報を教えてもらえるかもしれない。


この記事に対するコメント

>キング&クイーンってありませんか、と言うのは・・・

www

正直に言います、三塔とも知りませんでしたw

【2007/05/30 23:11】 URL | ただとき #sSHoJftA [ 編集]

マイナー伝説?
★ただときさん

 こんにちは。
 ただときさんも、キング&クイーンやマハラジャ世代ですね(笑)。
 私はそういうところは出入りしてなかったんだけど、それでも懐かしいですねぇ。
 今の若者にあれこれ言うけど、私たちの頃も相当おバカでしたね。(^^;
 新人類なんて言われてたのをふと思い出す。

 それにしても、三塔物語知らなかったんですかー。
 やっぱりあの都市伝説、マイナーだったか(笑)。
 市民よりも観光客向けの話題作りなんでしょうね。

【2007/05/31 05:59】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


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