現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
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報国寺は歴史も本堂も素通りしてみな竹林へ向かう
2007年12月18日 (火) | 編集 |
報国寺-1

PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4



 金沢街道寺社巡りの最後は報国寺(ほうこくじ)だった。まだこの先も明王院、光触寺、十二所神社と続くのだけど、それぞれ距離が離れていて遠いので、今回はここまでとした。そのあと長谷へ行く予定もあって。こちら方面だけを一日コースにすれば光触寺まででちょうどいい感じで回れそうな距離感だ。紅葉の季節でいえば、北側の獅子舞というところもいいらしい。そっちまで足を伸ばせなかったのが今回少し残念なところだった。
 少し日も傾いてきた。秋の夕暮れは早いからのんびりはできない。ちょっとだけ先を急ぐ。
 報国寺の三門はどうしたことか、妙に真新しい。大変立派な構えをしているけどこの新しさが気になった。これも帰ってきてから知ったのだけど、最近修復をしたらしい。どうりでピカピカなわけだ。
 しかし、極太の柱といい、大きな二枚扉といい、かなりお金をかけたとみえる。儲かってるんだろうか。ここは入るだけなら無料だけど、たいていの人は名物の竹の庭を見に来てるわけでそれが200円だから、実質は拝観料200円だ。ただ、本堂のお参りだけの人もいることを考えるとこれは親切とも言える。庭で抹茶をいただきたければプラス500円になる。

報国寺-2

 傾いた秋の日が長い影を作った。狙ったわけではないけどちょうどいい時間帯に訪れたようだ。最後にここを持ってきたのは正解だった。
 鎌倉もこのあたりまで来ると客層が変わる。騒がしいおばちゃん軍団は少ないし、休みの日は修学旅行生もいない。落ち着いた感じのカップルが増え、外国人もあまり見かけない。北鎌倉あたりの有名寺社や鎌倉駅周辺は人も多くて騒々しい。それはそれで賑やかで楽しいのだけど、古都鎌倉の風情を味わいたければやはり少し足を伸ばす必要がある。

報国寺-3

 本堂へのお参りもそこそこに、みんな一目散に竹林の方に向かう。ここの仏さんはけっこう素通りされることが多そうだ。縁起や由来に興味を持ってこの寺を訪れる人は少ないと思う。私も帰ってきて復習するまではどんなお寺なのかまったく知らなかった。
 創建は1334年、開山は天岸慧広(夢想国師の兄弟子)で、開基は足利家時(足利尊氏の祖父)、または上杉重兼ともいわれている。はっきりしたことは分からないようだ。
 臨済宗建長寺派の禅寺で、正式名は功臣山報国寺。本尊は釈迦如来。
 足利氏と上杉氏の菩提寺として栄え、最盛期は5キロ離れた衣張山まで境内に入っていたという大寺院だったのだとか。
 1439年の永享の乱では、反乱を起こした父・足利持氏が永安寺で自刃したのをうけて長男の義久もこの寺で自ら果てている。
 現在は歴史的な部分は置き去りにされて、もっぱら竹の寺として名を馳せている。いいことなのかどうでないのか分からないけど、鎌倉で竹林といえばここと決まっていて、大勢が訪れる。
 見所といえばそれくらいで、右手にある迦葉堂や茅葺き屋根の鐘楼などは私も見ることさえなく通り過ぎてしまった。

報国寺-4

 かなりの人気スポットで、この中は賑わっていた。閑散とした境内とは雰囲気が一変する。やっぱりみんなここ目的で来てるんだなと分かる。
 竹林は細い板の通路が作られていて、そこを一列か二列になってぞろぞろ歩いていく。ロープも張り巡らされているから、勝手なところへ入っていくことはできない。踏み荒らされるのは竹にとってもよくないし、竹の子を踏を踏まれないようにという配慮もあるのだろう。
 1,000本以上の孟宗竹はなかなか壮観だ。もともとここは自然に竹が生えていたところだったようで、40年ほど前に整備して一般公開するようになったそうだ。

報国寺-5

 斜めから差し込む光の具合がよくて、そりゃあみんな撮るよねと思う。でもコントラストが強いから、デジは苦手な被写体だ。明るくなりすぎるか、暗くなりすぎる。フラッシュを使うと雰囲気が飛んでしまう。難しいところだ。
 レンズは人間の目ほど優秀にできてないから、こういうシーンは見たままを捉えることができない。こういうところではまだフィルムのアドバンテージがある。

報国寺-6

 ここはやはり夕方がベストタイムなんじゃないだろうか。竹林が絵になるのは、この光と影のコントラストだから。
 耳を澄ますと上空を渡る風がサラサラ鳴る音が聞こえる。それもまた、竹林の楽しみの一つだ。ベストシーズンは夏の終わりだろうか。このシチュエーションにヒグラシの鳴き声が加わったら素敵だ。自分たちの貸し切り状態なら尚いい。

報国寺-7

 どこまでも高く伸びた竹は、その先が見えないくらい高い。竹の寿命は何年くらいなんだろう。
 竹のように真っ直ぐな性格という言葉があるけど、あれは上手い表現だ。写真ではゆがんでいるけど、これは広角レンズの特性でこうなってしまただけで、見た目はやっぱり真っ直ぐだ。

報国寺-8

 裏手に行くと、鎌倉時代特有の岩のお墓「やぐら」があった。近づくことはできない。
 ここで自刃した足利義久や、足利家時など足利氏一族のお墓のようだ。

報国寺-9

 蛇足写真。絵になりそうでなりきらなかった一枚。もっと紅葉の葉が一面に浮いていればよかったのだけど。

 このあと私たちは江ノ電に乗って由比ヶ浜まで行き、鎌倉文学館を訪れ、最後を長谷寺のライトアップで締めくくることになる。ここしばらく神社仏閣の歴史ネタが続いたので、そろそろおなかいっぱいになった頃だろう。私だってそうだ。三度の飯より神社仏閣が好きというわけではない。あ、でも、まだ奈良の東大寺編が残ってた。また寺かよ。なんとかワンクッション、ツークッション、何か別のものを挟みたい。鳥になるか、風景になるか。もしかしたら遠出もあるかもしれない。
 クリスマスイブまで一週間を切った。今年の残りもあと2週間だ。でも、まずは鎌倉編を完結させることを考えよう。残りあと2回。


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