3月の尾張旭はまだ冬が色濃い茶色風景、ところにより一部春

Canon EOS 20D+EF 75-300mm f4-5.6 IS / EF 50mm f1.8 II
春を探しに尾張旭へ行く。けれど3月の尾張旭はまだ冬景色。春の緑ではなく、冬の茶色が風景を支配している。
それでも、車をとめ、立ち止まり、かがんであたりを見渡すと、そこには確かに春の予兆がある。行く人は冬装束で、吹き来る風は冷たくとも、季節はいつでも人の感覚の先を行く。追い抜かれてから初めて季節の背中を見て追いかける。過ぎゆく時の速さに人はついていくことができない。生き物の中で、人間だけが季節に鈍感に生きている。
カメラを持つと、少しだけ季節の移ろいに対して敏感になれる。いつも撮るものを探していウロウロ、キョロキョロしているから。それは、短歌や俳句を詠むのを日常的な行為としていた昔人に通じるものがあるかもしれない。ちょっとした変化や発見を大げさに喜ぶのがクセみたいになっている。
季節や自然をよく観察し、感じることが大切だ。よくよく見ないと見えないものがこの世にはたくさんある。歌も写真も、無から有を生み出すことはできない。埋もれているもの掘り起こすことだ。
季節感のある写真が撮りたいといつも思っている。

田んぼのあぜ道では、ヒメオドリコソウがたくさん咲き始めていた。ヒメが踊り始めたらもう春本番だ。オオイヌノフグリやホトケノザはひとあし先に咲いていた。タネツケやハコベも。
野草シーズンも本格的に始動した。もう待ったなしだ。木の上の梅や桜にばかり気を取られていると足下の花を見落とすことになる。地面にお金が落ちてることはめったにないけど、下を向いて歩いているといいことがある。
ハルリンドウが咲いたという便りも届き始めた。春のスターでもあり、春シーズンの中で私が一番好きな花だ。はやる気持ちを抑えつつ、もう少し待って海上の森の湿地へ行こう。

茶色い田んぼでは保護色になって目立たないけど、鳴き声を聞けばすぐに分かる。ケケッ、ケケッとよく通る甲高い声で鳴き交わしているのはケリだ。
他の鳥より少し早めに繁殖するケリだから、そろそろペアになってる頃だろうか。田植え前の田んぼ脇に巣を作って、卵を温める。田植えが終わった頃には、稲の間をちょこまか動くヒナの姿が見られるだろう。
これも春を感じさせてくれる風物詩の一つとして私の中で定着した。4月が楽しみだ。

まだ巣作りは済んでないようだ。卵がある時期のケリは気が立っていて、近づく他の鳥や散歩の犬などに鳴いて威嚇する。まだそんな様子もなく、犬が近づくとおとなしく歩いて距離を取っていた。
おかげで近くから撮ることはできたけど、ほとんど飛ばなくて飛び姿を撮ることができなかった。飛翔を狙うなら産卵後がいい。見張り役のオスがひっきりなしに巣の周りを飛んでるから。
地面では灰色の鳩のように地味なケリも、飛んでいる姿は白黒ツートンで凛々しい。同じ鳥とは思えないほど美しい。

ケリの流し撮りはピントが合わずに失敗。スズメで練習するもこれまた不完全。流し撮りをするときは手ぶれ補正機能を切った方がいいのかもしれない。
E-510には流し撮り用の手ぶれ補正モードがあるから一度使ってみたいと思いつつ、いまだデジタル用のズイコーレンズを入手できないでいる。

ずっと気になっていた城山レストラン。ツレと一緒に、おっかなびっくり接近遭遇してみた。
やや、営業しているではないか。まさか、と思った。でも、お客は人っ子一人いない。このときは日曜の夕方だったのに。
入ろうか入るまいか迷ってやめた。入る勇気が持てなかった。ちらりとのぞいたところ、店内では手持ちぶさたそうなおばさまがうろうろ歩いていた。他の客が一組でいたら入ったのに。
でも、やってることは確認できたので、今後の課題としたい。桜祭りのときなどはそれなりに客もいるだろうから、そのときどさくさにまぎれて入ってもいい。

スカイワードあさひにも登ってみた。ちょっと久しぶりか。景色は特に変化なし。都会とは違って、日々刻々と風景が変わっていくなんてことはない。けど、こうして写真を撮っておいて、10年後、20年後に見比べたら、きっと大きく様変わりしてることだろう。目の前の田んぼなんかもつぶされてマンションが建ち並んでいるかもしれない。
ここからの眺めも、田植えが終わって稲が伸び始めた5月、6月が一番きれいだ。稲の緑と瀬戸電の赤のコントラストが鮮やかで、とても尾張旭らしい景色になる。

ツレと出かけるときは90パーセント以上の確率で晴れる。けれど、どうしたわけか夕焼け運がない。晴れていても夕焼けになると曇ったり、たまたまタイミングを逃して夕焼けを見られなかったりする。この日もそうだった。昼間の青空から一転、夕陽は厚い雲の中に飲み込まれた。
おまけに、このあと予定していた天体観測も天候不良で中止になってしまった。時間に合わせてわざわざ二度も行ったのに無駄骨になった。せっかくの機会だったのに残念だ。
スカイワードあさひでは毎週日曜、日没後1時間後くらいから1時間、無料天体観測というのが行われている。申し込み不要で直接行けば望遠鏡をのぞかせてくれるそうだから、お近くの方はぜひ。私も一度は見にいきたいと思っている。今の時期なら土星やオリオン座大星雲などが見られるようだ。

これは今日の夕焼け。ピンクに染まる空と、白い犬を散歩させるおじいさん。
尾張旭の田んぼは犬を散歩する人のメッカで、とにかく多い。尾張旭市民の一家に一匹もれなく犬を飼ってるんじゃないかと思うほどだ。一軒家がほとんどということもあるのだろうけど、それにしても犬密度の高い地区だ。
その一方で、野良猫がすごく少ない。犬猫勢力図では、犬が圧倒している。猫を飼っている家庭はどれくらいいるんだろう。

夕陽はもくもく雲の向こう側に消えていった。
ずいぶん日も長くなった。名古屋はそろそろ日没時間が6時に近づいている。私としては夕方の行動時間が延びるからありがたい。
夕陽は望遠レンズで狙うと、街中にいながらにしてネイチャーフォトになる。これはちょっとオススメしたい。いい場所を見つければ面白い写真が撮れる。

城山レストランだと勝手に思っていたのだけど、さっきネットで調べたら、旭城っていう名前がついていた。知らなかった。
もともとはこの地を治めていた水野宗国が1460年に建てた新居城(あらいじょう)が建っていた場所で、周囲には空堀や土塁などの遺構が少しだけ残っている。
昭和62年に雇用開発事業団というところがこの建物を建てて、その後尾張旭市が譲り受けたんだそうだ。どうりでレストランなのに午後5時で閉まってしまうはずだ。あんなに儲かってない店では普通に考えて経営は成り立たない。
それと、4階が無料展望室になっているということもさっき初めて知った。登れるなんてまったく思ってなかったから登れるかどうかなんて考えたこともなかった。この前ツレがあそこに行けるのかなぁと言うのを聞いて初めて気づかされたとはうかつな話だ。さんざん見たり撮ったりしてきたのに。
近いうちに登りに行こう。大した高さではないけど、内部がどうなってるか見てみたい。

天体観測が中止になってしまったので、もう一度展望室に登って夜景を見ることにした。
見所はやはり名古屋駅方面ということになる。そちらしか見るものがないとも言える。
お役所仕事なのに夜の9時半まで無料開放してるのは偉い。タダで文句を言っちゃいけない。でも、そんなことをしてるから、タワーの年間維持費に1億円もかかってしまうということもある。電気代や人件費だって馬鹿にならない。
そんなこんなの尾張旭の3月。春は近く遠くに見え隠れし、冷たい空気の中にも冬の気配が弱まっているのを感じた。
来週からは気温も上がって一気に春めいてくるようだ。渡りのカモたちもそろそろ北へ旅立つ頃だろう。虫たちの登場を待ちながら、気持ちは春の花へと向かう。
季節の贈りものは、いつも私たちの目の前に差し出されている。あとはそれに気づいて、手を伸ばすだけだ。
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