 PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / 135mm f2.5 / 28mm f3.5 / 200mm f3.5 他
今週は桜週間と位置づけて、心の準備は万端整えているのに、なかなか満開の便りが届かない。開花宣言から、まだ3日だから当然だ。はやるきもちをおさえつつ、どこへ行こうかあれこれ考えるも、行き先が決まらない。今行ってもまだ2、3分咲きに違いないから早すぎる。せっかく行くなら満開のときに見たい。 いったん桜は延期にして、別のところへ行くことにした。春だし、松平郷にしようと思う。3月はまだ行ったことがない。ブログを調べてみると、最後に行ったのは2006年の8月だ。一年半以上も行ってないのか。それはもう、行かなくてはなるまい。大のお気に入りの場所でもあり、心の故郷のようなところだから、そんなに長らくご無沙汰してはいけない。 しかし、変わらない。一年や二年では何の変化もないように見える。まだ一般に知られる前、司馬遼太郎はこの場所を見つけて初めて訪れて大感激して、のちに再訪したときあまりの観光地化ぶりに激怒したというエピソードがあるけど、あれで松平郷も思い直すところがあったのだろう。変わらないことがいいこともある。 いつ行っても、車から降り立ったとたん、ふっと空気に馴染む。感慨もなく、なつかしさもなく、里帰りしたようでもなく、何もかもが当たり前に思える。クセのないミネラルウォーターが喉を通って体の中に吸い込まれていくように。かつての松平郷を、司馬遼太郎は清らかな日本と表現した。そうだ、ここは日本なんだと思う。本当に日本好きの外国人に見せてあげたい日本がここにある。本来の日本はもはや、京都にも鎌倉にもない。 今回もたくさん写真を撮ってきたから、何回かに分けて紹介しようと思う。断片的な風景からどこまで松平郷の魅力を伝えることができるだろうか。
 ここを訪れたらまず、この松平親氏(ちかうじ)のオヤジに挨拶をしなければいけない。徳川家康のルーツである松平家の始祖が松平親氏だ(史実では一応そうなっているが真偽は不明)。 オヤジさん、ご無沙汰してます。帰ってきましたよと挨拶をする。 相変わらずはだけた格好であらぬ方向を指さしたまま何も言わない。あっちへ行けとでも言ってるのあか。
 ソメイヨシノにはまだ早かったものの、いろいろな花が咲いていた。春に咲くのは桜だけじゃない。 このあたりの花も桜の一種だろうか。自信が持てない。 天下茶屋は今日も静かに営業していた。お客は二人。平日の夕方ならこんなものだ。ここは広く知られた観光地というわけではない。 ただ、4月には春祭りがあるようだから、そのときは賑わうのだろう。2月には天下祭りという、はだか祭りもあった。
 入り口近くにあるのが松平東照宮で、奥には高月院がある。東照宮は松平親氏を祀った神社で、境内には家康が生まれたときに産湯に使ったとされる井戸などが残っている。高月院は、1367年に足助重政が建立し、親氏が堂や塔を建てて以来、松平家の菩提寺となった。1641年には、三代将軍家光が三門と本堂を建てたとされている。 高月院の長い白塀も、松平郷を代表する風景の一つだ。
 集落は奥へ向かうほど登り勾配がきつくなり、奥は段々の田畑になっている。 そこに桜がポツリと立って咲いていた。そうだ、桜ってこうだよなとあらためて思い出したような気持ちがした。桜というと桜並木を思い浮かべるけど、あれは人の手で植えられたもので、自然の姿ではない。この桜も、郷の誰かが植えたものだとしても、これが昔からの日本の桜風景だ。いつ誰が植えたのかも忘れられたまま、誰も手入れや世話をせずとも毎年春になると花を咲かせて季節を知らせる。そこで人はあらたまって花見をしたり、宴会をしたりなんかはしない。そして、気づけばいつの間にか桜は散っている。 日本全国には名物の一本桜がたくさんある。地元の人しか知らないような銘木もあるのだろう。
 一番上まで登って、逆光の桜を望遠で撮ってみた。花がギュッと詰まって華やかに見える。こういう撮り方もありだ。
 松平郷の中で、私が一番好きな眺めがこれだ。田んぼの上の方まで行って、下を見下ろすとほぼ全景が見える。 家康が松平郷を訪れたことはたぶんないのだろうけど、こんな小さな集落で始まった家系から、天下統一した人物が出たと思うと不思議な気分になる。 この場所から見る夕焼けはさぞかしきれいだろうと思うけど、西は山が空を遮っているから、あまり焼けることはないのかもしれない。
 足下の土手を見ると、あちこちでツクシが顔を出していた。街中で暮らしていると、ツクシを目にする機会もほとんどなくなってしまったけど、昔はそのへんにいくらでもあった。特別珍しいものでもなかったから、気にもとめなかったくらいだ。 今では貴重なものとなってしまって、とって食べようとも思わない。今でもあるところへいけばたくさん生えているのだろうけど。
 そういえば水芭蕉はどうなっただろうと思い出して、奥の池に行ってみたら、やっぱりもう咲き始めていた。そうだ、そうだ、水芭蕉も4月に咲くものだから、そろそろ出てきてもおかしくない。夏が来てから思い出していては遅いのだ。 見頃となると、4月のはじめから半ばにかけてだろう。
 ウグイスが遠く、近くでさかんに鳴き交わしていた。ぜひ撮りたかったのだけど、なかなか姿を現してくれないのがウグイスだ。 その代わり、シジュウカラが相手をしてくれたので撮らせてもらう。でも、せっかくならもう少し撮りやすいところにとまって欲しかった。今日は200mmしか持っていかなかったから、近づいたところで逃げられてしまった。
 松平郷といえば、室町塀が一番有名だろう。見ると撮りたくなる。 この塀と小川のほとりは、一年を通じて様々な花が咲く。初めてカワラナデシコを見たのもここだったし、4月になればヒトリシズカが咲いてくる。夏のオミナエシと萩も、室町塀とセットでよく被写体になる。 今日はまだ時期的に早くてめぼしい野草は咲いていなかった。そんな中、柳の風情がちょっとよかった。
 西日に照らされる室町塀と柳の木。 道が石畳だったらもっとよかったのにと勝手なことを思う。集落は人も住んでるし、車も通る生活道だから、よそ者の無責任な願望だと自覚しつつ。
3月の松平郷シリーズ第一回はここまでとしよう。続きは明日以降ということで。 今週はなんといっても桜週間だから、更新内容はあちこち飛ぶかもしれない。さて、どこの桜から見て回ろうか。
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