 Canon EOS 20D+Canon EF 135mm f2.8 SF
また掛川花鳥園へ行ってきた。今年に入って三度目だ。 一回目は正月明け早々の1月。総天然色の鳥たちを写し取るためにFUJIFILMのS2proを持っていった。色に関しては狙い通りだったけど、動きがトロいS2proでは飛びものに苦戦した。 二度目はベビーラッシュの5月。たくさん生まれたチビたちを撮るために、タムロン90mmマクロを持っていった。デジ本体は、表の飛行ショーに対応するために手持ちの中で一番連写が効くEOS 20Dを持参した。そのときも室内はけっこう撮れたのだけど、外での飛びものは難しかった。 そして三度目の今回、テーマはソフトフォーカスレンズ一本勝負だった。だいぶ前からこのレンズのことはずっと気になっていて、チャンスがあれば買おうと思っていたところに、ちょうど上手いタイミングで買うことができたので、試し撮りを兼ねて今回はこれだけで撮りきってきた。最後の飛行ショーで少しだけ望遠を使った以外は、すべてソフトフォーカスレンズでの撮影となった。なかなかの気まぐれレンズで、最後まで掴みきれずに終わったものの、一風変わった写真が撮れたので紹介していきたいと思う。レンズの使い心地もあわせて書いていこう。
 ソフトフォーカスレンズといっても各メーカーやサードパーティーからそれぞれ出ていて、他のものは使ったことがないからまったく分からない。CanonのEF135mm f2.8をデジイチの20Dで使った場合に限った感想になること。 初めに、ソフトフォーカスレンズとソフトフィルターは何が違うかという話だけど、似て非なるものと考えた方がいいと思う。どちらにもメリットとデメリットがある。ソフトレンズの場合は、ピントが合った部分はある程度シャープになりながらボケの部分だけ滲んだようになっていくのに対して、フィルターの場合はピントが合った部分がなくなって全体にぼんやりしてしまう。フィルターは安いし、どのレンズにもつくというメリットがあり(レンズの径をリングで合わせる必要はあるけど)、ソフトレンズは焦点が決まってしまうというデメリットがある。 レタッチソフトでソフト効果も出せるから、あえてソフトレンズを買う必要はないと思うかもしれないけど、ソフトレンズでなければ生み出せない効果の写真というのが確かにあって、そのために買う価値はあることは使ってみると分かる。 私の場合は、どんなものなのか一回試してみたかったというだけで、深く考えて買ったわけでもない。ちょっと面白そうだと思っただけだから、すぐに手放してしまう可能性も高い。これは変化球の中でも特殊球に当たるようなレンズだから、これに頼りすぎると基本的な部分で写真上達のさまたげになる気もする。ある意味ではちょろまかしのレンズだ。楽して雰囲気のある写真になってしまう。 使いどころをきんちんと分かっている上級者向けのレンズと言えるかもしれない。
 ソフトフォーカスレンズというと真っ先に思い浮かぶ被写体は、女性のポートレートだ。最短焦点距離1.3メートル、倍率0.12倍というスペックも、そういう用途のために設計されたを示している。花などを撮るためのマクロレンズの代わりにはならない。エクステンションチューブで焦点距離を短くすることはできても、倍率が低すぎる。 花鳥園だけに、ポートレートのモデルは当然ながら鳥になる。これはアンソニーだったか、ドリーだったか。今回は一緒のところに2羽いて、最初どっちがどっちか分からないまま撮っていた。帰ってきてから、左足にリングをしている方がアンソニーだということに気づいた。 このソフトレンズは弱と強の二段階設定できるようになっている。切るというモードもあって、そうするとノーマルの135mm単焦点レンズになる。ただし、このときの描写はたいしたことない。悪くはないけど並みだ。 はっきりとしたソフト効果を出すには強の2で撮るべきなのだろうけど、そうなるとソフトが強くなりすぎて私の好みではない。今回はすべて弱の1で撮っている。 絞りによってもソフト効果はかなり変化して、絞り開放のf2.8だとボケボケになってしまうから使いづらい。逆にf5.6くらいまで絞ると、ソフト効果がほとんど消えて普通の描写になる。なので、一段絞りのf3.2で撮ることが一番多かった。絞るにしてもf4くらいまでと考えておいた方がよさそうだ。
 ソフト効果がどういうときにきれいに表れるのか、はっきり言ってよく分からない。逆光の方が出るようにも思うけど、順光でも出たり出なかったりするし、背景の色や焦点距離によってもかなり左右される。じゃじゃ馬というほどではないにしても、気まぐれでちょっとつき合いの難しいレンズであることは間違いなさそうだ。今ひとつ人気がないのはそのためだろう。 ただ、近年、デジイチの普及によってこのレンズの人気がひそかに高まってきたようだ。デジイチなら撮ってすぐプレビューで確認することができるし、何枚でも撮り直しができる。フィルムならそうはいかない。 デジタルになるとキヤノンの場合なら216mm相当だからほんど望遠になってしまって、その点では使いどころがますます難しくなるということはあるか。デジタルということを考えると、85mmとか90mmくらいの方が使い勝手はよかった。 しかしこのレンズ、実は相当なロングセラーで、1987年に発売されてから10年以上経った今でもひっそり販売を続けているのだ。これに取って代わるものがなかったというのもあるし、キヤノンとしても新型を開発してもあまり売れないからとりあえずそのまま売っておけということなのだろう。
 水浴びで大暴れをするクロトキさん。 この写真がヒントになるのは、光と水を味方につけるということだ。 今回はあれこれ試行錯誤する余裕がなくて一本調子の撮影になってしまったけど、シャッタースピードによる変化というのも当然あるわけで、速くしたりわざとぶらしたりという撮り方でも違った写真になる。 ソフト効果にしても、場合によってはあえて強くかけた方が面白くなることもあるだろう。今更ながら、同じシーンで設定を変えながら何枚か撮るべきだった。
 水だけ撮ってみたらどうなるかと思ったら、なんだか普通の写りになった。模様としては面白くても、ソフト効果というのはほとんど感じられない。水は水でも、水滴狙いでいくべきか。
 光と影の強いコントラストではどうなるかといえば、これも普通っぽい。やはり光が当たっている部分にソフト効果が強く出ていて、影の部分は滲みが少ない。 やはり、光を効果的に取り込まないといけないようだ。
 花を撮ると、幻想的といえば幻想的だけど、ただのピンぼけと言われればそれまでだ。被写体選びの難しさがある。 どんな花でもふんわり柔らかく撮ることはできても、本当のソフト効果が必要なのかどうかを考えないと、ただの嫌味な写真になりかねない。 被写体も選ぶし、使う人を選ぶのもこのレンズだ。あまりオジサン向きのレンズじゃない。
 どうやら距離が遠ざかるにつれてソフト効果が弱くなるようだ。このときは被写体との距離が5メートル以上あっただろう。光や背景によっても違ってくるのだろうけど、効果的なのは最短の1.3メートルから2メートルくらいと見た。ただ、表で使った印象としては、強い光があると距離があってもソフト効果は出ることも分かった。背景によっても変わってくる。 狙い通りに使いこなすには、かなり実戦経験を積まなければいけない。そこまで使い込む気になるかどうかという問題もある。
 スイレンを撮ったら、思ったほどソフトにならなかった。こういうときはソフトを強く効かせるときだ。 これからの季節ならヒガンバナとソフトの組み合わせはどうだろ。紅葉は使いどころが難しそうだ。イメージできるものとしては、親子のいるヒマワリ畑というのがある。桜並木をいく自転車の高校生カップルなんてのもよさそうだ。
 こういう群像ものも面白くもあり、難しくもある。ピントの合わせどころを間違えると、何が撮りたかったのだかよく分からない写真になる。同じところからもう一段絞った写真も撮ってみたら、それは普通すぎてつまらなかった。反応が敏感すぎるところがある。
 掃き溜めに鶴ではないけど、水面に浮いたゴミや葉っぱまでキラキラにしてきれいに見せてしまうのがソフトフォーカスレンズだ。 この写真を見たら、海の可能性を思った。海を見ながら浜辺に座る恋人なんてのも、ソフトレンズの使いどころだろう。クロード・ルルーシュ監督の『男と女』みたいに。 日本の港風景も、スーラの風景画のように変えてくれるんじゃないかと期待させる。 一番の使いどころは、なんといっても結婚式だと思う。それが海辺なら申し分ない。
 エミュー牧場前のカップルでは絵になるかどうか微妙なところだ。けど、これも普通のレンズで撮ったらなんてことのない平板な写真になってしまう。ソフト効果を誤魔化しと見るか、演出と見るか、見る人の感覚によっても評価は分かれる。
とまあ、こんな感じで一日、花鳥園でソフトフォーカスレンズを使ってきた。好き嫌いはあるだろうけど、今日から何回か花鳥園シリーズが続きます。何人かは、自分も使ってみたいと思う人が出てくるかもしれない。このレンズは人のものを見るよりも自分が使って面白いレンズだから、試しに中古で買ってみることをオススメします(1万から2万くらい)。写真を撮ることにちょっと飽きてきたという人にもいい。まだまだいろいろな可能性があるということを気づかせてくれる。新しいレンズはカンフル剤にはもってこいで、中でもこういう特殊なレンズは一過性ではあるけど楽しさがある。
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